和室の天井仕上げはあえて注目する方は少ないですが、「目透かし天井」「竿縁天井」「格子天井」などたくさんの種類があります。種類によって模様が違い、部屋の雰囲気や印象も大きく変わります。建物の雰囲気や求める仕上がりに応じて天井仕上げを選んで施工することができます。そもそも和室の天井仕上げは昔の建物である書院造や数奇屋造の名残が残っており、今では軽量化や簡素化されたものが一般的です。たとえば、書院造の建物では格子天井が、数奇屋造では竿縁天井が多く見られます。今では竿縁天井が和風住宅の場合は主流ですが、より簡素化して竿を使わずに板の間に筋目だけを残した目透かし天井も多いです。難しい昔ながらの天井の施工を選ぶ方が少なくなり、実際に施工したことのない職人さんが増えてしまい、施工できる職人さんがどんどん少なくなっているのが現状です。
日本独自の古い伝統である天井工法を受け継いで残していく職人さんがいなくならないよう、技術を残していくのが今の日本の重要課題でもあります。さて、話は戻りますが竿縁天井と天井板の向きが逆なのが目透かし天井です。天井板は床の間と平行になっていて、天井板の間には隙間があるのが特徴です。日本の伝統では床の間と直角に天井を張ってしまうと床刺しといって不吉だといわれます。そのため、竿縁のない目透かしの場合は床の間と平行に天井を張っていきます。施工した部屋の印象は竿縁がないため天井がすっきりしてスマートな見た目になります。平らに施工された洋風の天井ともあまり変わらない見た目なので、人気のある天井仕上げです。真物の天井板を使って施工される場合もありますが、木目の美しさは再現が難しく、いい材料ほど値段が高くなってしまいます。
無垢材ともなれば、入手が困難であるとともに、値段も桁違いになってしまいます。また、板には板目と柾目がありますが、柾目は平行できれいな木目ですが、大きく育った木からしかとれないため、値段が高くなる傾向があります。そのため、ラミネート天板やプリント合板が多く使われ、簡単にお手ごろ価格で施工できるようになっています。ぱっと見ただけでは本物と違いが分からないくらい精巧にできているとともに、きれいな木目や色合いが作り出せます。天井材の張替えも可能で、木目や色を変えることができます。天井板がプリントであれば張替えをして、部屋の雰囲気をがらりと変えることも可能です。